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不動産担保ローンの経理処理について

経理処理のイメージ

個人事業主や会社を持っている方が事業用資金として不動産担保ローンを活用した場合は、借入金や各種の支払費用を適切に経費処理しなければなりません。
個人事業主、法人ごとの経費処理(仕訳)方法や、普通の個人が不動産担保ローンを利用した場合は確定申告をする必要があるのか、といった気になるポイントをまとめました。

法人の場合

法人のイメージ

まずは法人(会社)が不動産担保ローンを組んだ場合の処理を確認していきましょう。
仕訳は非常にシンプルなので特段悩むシーンは無いかと思いますが、法人の事業資金として融資を受けた場合のみ経費処理がやや複雑になります。
まず借入した資金については、基本的に「長期借入金」と「1年以内返済長期借入金」に分けて仕訳をします。

借入時の勘定科目一覧
長期借入金 融資日に対して最終返済日が1年以上先
長期借入金
(1年以内返済)
長期借入金のうち、決算日までに返済する部分
短期借入金 融資日に対して最終返済日が1年以内

上記が経理処理に使用する「勘定科目」です。
不動産担保ローンは2年以上の長期契約が主流なので短期借入金になることは少ないのですが、仮に返済期間が1年以内であれば短期借入金に分類されます。

長期借入金になる場合は、長期借入金と1年以内返済長期借入金に分けて仕訳し、借入日と決算日や月々の支払額を考慮した上で仕訳内容を調整する必要があります。

法人の借入時仕訳の一例

借入額1,000万円(借入日9月1日・返済日毎月27日・決算日3月31日)であった場合、仕訳は以下の通りとなります。

借方 貸方
現預金 10,000,000円 長期借入金 9,300,000円
1年以内長期借入金 700,000円

また、ローンを組むのに要した初期費用については経費計上することができます。
経費計上は利益が下がる(費用の増加)という効果がありますので税金対策を行いたい場合は必ず経費として処理しましょう。

使途 勘定科目
保証料として支払った費用 長期前払費用
契約書に貼付した収入印紙 租税公課
事務手数料や振込手数料 支払手数料
団信保険特約料 支払保険料
組合員になる為の入会金等 出資金
初回分の利息 支払利息
返済時の仕訳

元本は「負債」、利息は「費用」に分類されますので、月々の返済は両者を分けた上で仕訳しなければなりません。
契約時に「返済計画表」を作成(又は金融機関から発行)しますので、同書類を元に正しく仕訳しましょう。
「長期借入金」と「1年以内返済長期借入金」と分けて計上している場合、これらの区分もしっかりと確認するようにしてください。

法人の返済時仕訳の一例

月々の支払額10万円(内元本が9万5千円)であった場合、仕訳は以下の通りとなります。

借方 貸方
長期借入金 95,000円
支払利息 5,000円
現預金 100,000円

個人事業主の場合

個人事業主のイメージ

個人事業主の場合、長期借入金や短期借入金の区分がありませんので、全て「借入金」として経費処理する形になります。
そのため、法人に比べてよりシンプルになり、その他の勘定科目については法人と同様と考えていただいて差し支えありません。

個人事業主の借入仕訳の例

借入時 借方 貸方
現預金 100,000円 借入金 100,000円
返済時 借方 貸方
借入金 95,000円
支払利息 5,000円
現預金 100,000円

個人の場合

給与所得や年金を得たことによる収入(雑収入)では諸費用を経費として申告することは認められておりません。
そのため、不動産担保ローンを利用しても確定申告は不要です。

その他経理処理が必要になるシーン

以下に該当する場合、経理処理を行う可能性がありますので予め確認しておきましょう。

担保不動産を差し押さえられた場合

担保不動産が差し押さえられ所有権を失った場合、「資産を失い、負債が減る」という法的効果が発生しますので、帳簿上処理を行う必要があります。
また、一定の控除額を上回る利益が出た場合は確定申告する必要がありますが、不動産担保ローンによる差し押さえ(担保評価額)が取得価格より高くなることはほぼありません。

住宅ローン控除との関係性

住宅ローン控除を受ける場合には初年度のみ確定申告が必要なのですが、前述したとおり不動産担保ローンを利用しても確定申告は不要ですので、住宅ローンに関してのみの申告で問題ありません。
なお、不動産担保ローンは担保評価額からローン残債を差し引いた金額しか利用できないので、住宅ローン控除対象期間(取得から10年)に不動産担保ローンを利用することは現実的には難しいでしょう。